産福連携



実績


2023/9/25 株式会社バンザイ・ファクトリー×就労継続支援B型作業所かたつむり

椿の葉から広がる、連携作業の輪


連携が双方にもたらす効果とは

大船渡市と陸前高田市の市花に指定されている「椿」は、地域に住む人たちにとっては、愛着のある花です。
三陸沿岸に昔から自生するやぶ椿は、雪降るなかでも花を咲かせるほど、驚異的な生命力を秘めています。
強くたくましく、地域の人たちからも愛されて育つ三陸椿を原材料にして、
「椿茶」として商品化したのが「(株)バンザイ・ファクトリー」です。

現在、椿茶を生産するうえで、一次作業を11箇所の障がい者施設や就労支援センターなどと連携して行っています。

代表取締役の高橋和良さんは、
「毎週届く処理をした椿の葉のキロ数から換算していくと、だいたい50人くらいの人が毎日お仕事をしているような状況です。
2018年から本格的に施設と連携をするようになって、『椿茶美味しくなったね』と言われるようになりました。
品質が倍くらい良くなりましたし、間違いなく作業をする施設のおかげですね」
と話します。

施設によっては、椿の木の伐採に行ける体制や道具が整っていないなどがあります。
その部分をサポートしているのが、みらい創造財団朝日のあたる家です。

各施設に持ち込まれた椿の枝は、小枝から一枚一枚葉をハサミで切り取り、洗浄と磨き作業をし、
納品という一連の作業が行われます。

納品された椿の葉は、キロ数で買い取りを行うので、作業を行った分だけきちんと成果報酬として反映される仕組みになっています。
納期やノルマはなく、施設ごとのできるスピードで作業を進めることができるのです。

魅力は、誰でも携わることができるということ

2023年6月から連携をはじめた「非営利型一般社団法人かたつむり」では、利用者の人の特性に合わせて、作業を分担しています。

①小枝から葉っぱへ切り離す作業

②葉っぱの軸をハサミで切る作業

③葉の裏表を磨く作業(食品用のアルコールで汚れを浮かせて、拭き取る)

④仕上げの磨き作業

⑤作業リーダーが最終の葉の選別

⑥軽量

施設担当者の藤井さんは、
「職員は見守るだけで、作業前の準備から最終の軽量まで、全て利用者のみなさんがやっています。
他の作業内容だと、機能的にできないことや集中力が続かないなどがありました。
でも、この椿の作業は、障がいの重い人でもほとんどの利用者さんが携われる作業で、とてもありがたいです」
と話します。

磨いて汚れを落とすことで葉がキレイになるという、視覚的にも分かりやすい作業なので、
成果が目に見えて分かることが、利用者の人たちにとっても取り組みやすい作業となっているそうです。

毎日20人ほどで作業を行っていますが、連携をはじめた当初は、1日100~150グラムが限度だったそうです。
現在では作業効率も上がり、午前と午後2時間ずつの作業時間で、1日400グラム、
多い日には600グラムほど作業ができています。

藤井さんに、作業をするうえで工夫していることを伺いました。
藤井さん「葉の良いもの悪いものの区別をつけるために、〇×のトレイを用意しています。
分かりやくすく、作業がスムーズにできるように工夫した点でもあります。
あとは、不良品が混ざらないように、最終の拭き上げとリーダーの選別の二重チェックを行って、見落としがないようにしています」

作業リーダーは、
「細かいところが気になって、どうするか迷うことがありますが、本当にキレイなものだけを選んでいます。仕事は楽しいです」
と仕事にやりがいを感じているようでした。

地域に根付く仕事を目指して

施設だけでなく、地域住民の人が内職という形で作業に携わっている人も多くいます。
朝日のあたる家に月1回手芸活動で来ていた、柳下さんもその一人です。
柳下さん「たまたま作業しているところを見て、ちょっとした興味から始めてみたのですが、
まさか、お給料ももらえるとは思っていなくて。
でも、自分が携わった椿の葉が、商品となって全国に届いている。
と思ったら、『きちんとしたものを』という責任もありますね」

自宅で、1週間に1回くらいのペースで作業を行っている柳下さん。
毎週1キロくらい納品しているそうです。

柳下さん「大変な部分もあるけど、苦にならないです。
自分の家で作業ができるので、好きな時間にできるから気持ち的にも楽ですし、それにお給料ももらえるのが、ありがたいです。
体調が悪くならない限り、続けていきたいです」

地域で働く人が増える、連携の仕組み。
バンザイ・ファクトリーの高橋さんは、働く人が会社のなかじゃなく、地域に広がっていることが何より嬉しいと感じているそうです。

最後に……
「施設との連携、地域住民や高齢者の内職者など、今後はみらい創造財団朝日のあたる家さんと強く連携して、地域に椿茶の生産者を100人以上になる人数規模に増やしていきたいです。
陸前高田市と大船渡市内に於いては、一般の生活者の方々を増やしていけたらと思っています」
と高橋さんの構想も広がります。

取材・文:吉田ルミ子

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